世界哲学会議(WCP)の招致活動開始についてーあわせてご寄付のお願いー

2018.04.04
日本哲学会会長 加藤泰史

 日本哲学会は、2023年開催予定の第25回世界哲学会議の招致活動の可否について、この間、慎重に熟議を重ねてきましたが、この度、昨2017年12月2日の理事会において、東京招致のための活動を開始することを決定しました。これを承けて、招致実行委員会を立ち上げ、現在、関連諸学会の協力を得ながら、招致委員会の組織にあたっております。本年夏に北京で開催される世界哲学会大会にて、2023年東京招致を提案することを、目標としています。
 つきましては、以下で、会員の皆様に、世界哲学会議の概要、招致活動決定までの経緯、などについて、現段階で可能な範囲でご説明をさせていただきたいと思います(今後とも、本HP上で関連情報の更新を行っていきます) 。また、あわせて、会員の皆様に招致活動のための募金のお願いをさせていただきます。世界各地から多数の参加者を迎える大会開催のためには、相当額の予算を主催側自身で用意することが不可欠となります。どうかできるだけ多くの方々に、世界哲学会議招致の学術的・文化的・社会的意義、また東京大会そのものの理念に関してご理解・ご賛同いただき、招致活動へのご寄付を賜りますようお願いいたします(寄付用口座などの情報は後述します)。

(1) 世界哲学会議について

世界哲学会議 (World Congress of Philosophy, WCP) は、哲学系諸学会国際連合(Fédération internationale de Sociétés de Philosophie, FISP) 主催の哲学研究者の国際会議で、近年では5年に1度開催されています。その主な目的は次の3つです。
 (1)世界中の哲学者同士の研究交流を促進すること、
 (2)哲学教育の普及、
 (3)現在人類が抱えるグローバルな問題に対する哲学の寄与。
 主催団体FISPは、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO) の内部団体である国際哲学・人文学会議 (ICPHS) に所属します。開催地はFISPの総会で決定され、運営を担当するのは、契約を交わした現地の組織委員会となります。さらに、FISPと現地の組織委員の双方から選ばれた委員によって構成されるプログラム委員会が設置され、全体会議とシンポジウムのテーマを選ぶ他、招待講演者を決定し、分科会のテーマの設定、そのそれぞれの責任者の選定を行います。なお、会議の基本的な案件(全体テーマ、日程、会場、ロゴのデザインなど)については、FISPの運営委員会も決定に参与します。
 第1回会議 (前身の団体名である国際哲学会議 International Conference of Philosophy) は、1900年にフランスのパリで開催され、主な参加者に、アンリ・ベルクソン (ノーベル文学賞受賞者) 、バートラント・ラッセル (ノーベル文学賞受賞者) 、アンリ・ポワンカレ(数学者、哲学者)がいます。第2回は、1904年にス イスのジュネーブで、第3回は、1908年にドイツのハイデルベルグで開催されましたが、さらに、第一次・第二次世界大戦による中断をはさんで、1948年以降、哲学系諸学会国際連合(FISP) の主催のもと、5年に1度の開催という現在の形態となりました。最近の開催地は韓国のソウル (2008年)、ギリシャのアテネ (2013 年) で、次回は本 2018年8月に中国の北京で開催されます。
 近年の参加者数は、100カ国弱から3000人近くとなっています。参加者の主な国籍は、米国、中国、インド、ドイツ、ロシア、メキシコ、日本、イタリア、トルコ、フランス、イギリスなどです。公用語として、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、中国語、開催地の言語が採用されています。
FISPのHP
https://www.fisp.org/index.html

(2) 日本哲学会による取り組み ―これまでとこれから

 これまで日本は、日本哲学会を中心に、FISPに積極的に参加してきましたが、世界哲学会議については、資金面などの問題もあって、慎重論が強く、開催地となることはないままでした。しかし、ぜひ日本で開催してほしいという内外の声は一貫して根強く、特に、2008年にはすでに韓国で開催され、また本年は中国で開催予定であるといった事情もあり、日本での開催への期待はますます高まっている状況です。こうした中、日本哲学会は世界哲学会議検討WGを設置して東京での開催の可能性を検討し、上記の通り、2017年12月2日の理事会で立候補を決定しました。
 正式な立候補 (招致意思の表明) は、本年8月に北京で開かれるFISP総会で行われます。また、開催地決定の選挙は、FISP会員による投票で行われます。日本の招致委員会/招致実行委員会は、上記の通り、日本哲学会を中心に哲学系の諸学会の協力を得て準備を進めていく予定です。
 そうした中、現在、様々な学会から招致への協力の意向が伝えられつつあり、今後さらに増えていくことが期待されます。これについては、詳細が明らかになり次第、本HP上で情報を更新していきます。
 また、東京大会がどのような在り方を目指すかについての討議も進行中です。多様な背景から世界哲学を構築することを目指しながら、できる限り衆知を結集していきたいと考えています。この点についても、随時情報の更新を行っていきます。

(3) 東京大会の開催日程・場所・規模の概要

 FISP総会で東京が開催地に選ばれた場合、大会日時と会場の予定は次の通りです。

 会場:東京大学駒場キャンパス、本郷キャンパス
 日時:2023年8月20日〜26日
 参加想定人数:3000人 (海外から2500名、国内から500名)

(4) 招致活動用寄付口座について

 現在、およそ以上のような仕方で、鋭意招致活動が推進されています。資金源が十分に確保されているわけではない中、誘致段階でも、すでにさまざまに活動費用が必要となってきています。世界哲学会議開催の意義、ならびに東京大会の理念にご理解・ご賛同を頂ける方々は、以下の要領でご寄付を頂ければ幸いです。どうかよろしくお願いいたします。

 寄付要領:
 (1) 金額 1口5千円。
 (2) 郵便局に備え付けの払込取扱票に下記をご記入の上、ATMまたは窓口にてご送金ください。

 加入者名 日本哲学会
 口座番号 00180‐7‐767779
 氏名、住所、郵便番号

*あわせて通信欄にメールアドレスの記載をお願いいたします。
*今後寄付者のお名前を掲載する場合に公開を希望されない方は、「匿名希望」とご記入ください。

 寄付金受領の確認後、ご記入いただいたご住所宛に領収証をお送りいたします。寄付金の管理は、日本哲学会で責任を持って行い、会長を中心に理事会の厳格な監督の下で進めます。収支報告は会報にて行います。ご記入いただいた個人情報は、領収証書その他書類の送付、寄付金の適切な管理、各種のご案内・ご連絡、お問合せへの対応等のために利用いたします。

(5) WCP招致実行委員会

委員長 納富 信留 (東京大学)
副委員長 河野 哲也 (立教大学)

*最新の情報は本HP上で随時公開します。