男女共同参画推進に関するアンケート結果報告 (2006年3月)
はじめに
日本哲学は2005年7月の委員会において、男女共同参画推進に関するワーキンググループを立ち上げ、他学会の状況を把握しつつ、2005年8月から9月にかけて全会員にアンケートを実施した。郵送又はウェブ送信いずれかの方法でアンケートを回収した。
全会員1775名中、寄せられた回答は136名であった。内訳は、男性会員103名(男性会員の6%)、女性会員33名(女性会員の22%)である。
今回寄せられたアンケート結果を全てここに公開し、日本哲学会の今後の善き在り方を、男女共同参画推進という観点において継続的に鋭意検討する方針である。
アンケートに関心を寄せていただいた会員の皆様方に心より感謝申し上げます。
今後ともどうか皆様方の率直な御意見をワーキンググループまで随時お寄せ下さい。
日本哲学会男女共同参画ワーキンググループ一同
山田弘明 (座長) , 石黒ひで (顧問) , 谷川多佳子
一ノ瀬正樹 , 四日谷敬子 , 鷲田清一 , 和泉ちえ
(ワーキングe-mail) : email hidden; JavaScript is required
第一部アンケート集計結果
アンケート項目
Q1.1 日本哲学会における女性会員の比率の低さは何を反映していると思いますか
Q1.2 学会運営に関与する委員(編集委員を含む)に選出される女性比率の低さは何を反映していると思いますか
Q1.3 女性委員の割合が増えるべきだと思いますか
Q1.4 委員(編集委員を含む)の選出に際して「女性枠」を設ける必要があると思いますか
Q1.5 「女性枠」を設ける場合、どの程度(何パーセント)まで増やすのが適切であると思いますか
Q2.1 哲学教育において、ジェンダー・バイアス(性別・性差に由来する固定観念や偏見)が存在すると思いますか
Q2.2 研究テーマの選択や研究指導の現場において、ジェンダー・バイアスが存在すると思いますか
Q2.3 研究活動を遂行する中で、ジェンダー・バイアスに起因する不当な威圧や評価を受けた経験はありますか
Q2.4 研究機関において男女の処遇の差があると思いますか
Q3. 日本哲学会における男女共同参画推進のため今後必要と思われること
Q4. 男女共同参画推進については賛否両論があるかと存じます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお寄せ下さい
集計結果のグラフをPDFにまとめました。
集計結果のグラフ (日本語:PDF)
Philosophical Association of Japan Gender Equality Survey Results (English,
PDF)
第二部 日本の文系学会における女性役員等比率
表題のものについて調査しました。
学会名 | 会員数 | 女性会員 | 比率% | 女性役員比率% |
---|---|---|---|---|
日本哲学会 | 1,775 | 138 | 8 | 5 |
日本英文学会 | 3,629 | – | – | 18 |
日本社会学会 | 3,529 | 1,059 | 29 | 16 |
医学哲学・倫理学会 | 399 | 128 | 32 | 18 |
医学哲学・倫理学会 | 517 | 70 | 13 | 3 |
日本心理学会 | 7,069 | 2,793 | 40 | 12 |
日本宗教学会 | 2,112 | 287 | 14 | 8 |
西洋古典学会 | 528 | 70 | 13 | 3 |
日仏哲学会 | 360 | 40 | 11 | 10 |
仏語仏文学会 | 1,667 | 556 | 33 | 18 |
日本ドイツ文学会 | 2,274 | 533 | 23 | 22 |
科学基礎論学会 | – | – | 7 | 9 |
日本イギリス哲学会 | – | – | 11 | 4 |
日本科学哲学会 | – | – | 7 | 6 |
日本倫理学会 | 1,050 | – | 11 | 0 |
日本現象学会 | – | – | 10 | 0 |
(順不同。無作為抽出。学会事務局に問い合わせたもの、HPのみによるものあり。小数点以下は四捨五入。)
※男女共同参画推進への取り組みはどの学会にも顕著な動きはない。ただ日本社会学会のみは例外であり、次のような積極的な取り組みをしている。
日本社会学会の取り組み
各種委員会の委員の人選にあたって、ジェンダー・バランスを考慮している。
日本学術会議の会員候補者として女性研究者を推薦している。
学会大会で、1992年から「性・ジェンダー」という部会を設けている。
1999年から学会大会の際、会場内もしくは会場の近くに、ベビーシッティング用の部屋を用意し、専門の業者に乳幼児の世話を特別料金で依頼している(料金は本人負担)。
『社会学評論スタイルガイド』で「バイアス・フリー」という項目を設け、「ジェンダー・バイ
アスのかかった用語が多いので各人が十分に留意されたい。」と注意を喚起している。
現在策定中(10月の総会で正式決定の予定)の日本社会学会倫理綱領案で、第4条で性差別の禁止を含む差別の禁止を、第5条でセクシャル・ハラスメントを含む、ハラスメントの禁止を規定
している。
(参考)
第4条 〔差別の禁止〕会員は、思想信条・性別・性的指向・年齢・出自・宗教・民族
的背景・障害の有無・家族状況などに関して差別的な取り扱いをしてはならない。
第5条 〔ハラスメントの禁止〕会員は、セクシャル・ハラスメントやアカデミック・ハラスメン
トなど、ハラスメントにあたる行為をしてはならない。