世界哲学会議(WCP)招致活動のご報告について

2018.10.11

この春より、日本哲学会をはじめとする日本哲学系諸学会連合(JFPS)が行ってきた、2023年度世界哲学会議の東京への招致活動について、多くの日本哲学会員の方々からご理解・ご支援を頂戴しました。心よりお礼申し上げます。既報の通り、今夏のWCP北京大会・総会で、2023年度の開催地として選ばれたのは、東京ではなくメルボルンであり、私たちの活動は残念ながら実を結びませんでした。この点、私たちの力不足を皆様にお詫び申し上げますともに、他方で、JFPSおよび日本哲学会として、できる限りの努力をいたしましたことをご報告申し上げます。以下、JFPS委員長(野家啓一氏)ならびに本学会長(加藤泰史)による報告文を掲載いたしますので、どうかご一読下さい。今後とも、皆様のあたたかいご理解を頂きますようお願いいたします。

世界哲学会議招致活動のご報告

2018年10月03日
JFPS委員長・野家啓一(東北大学)
日本哲学会会長・加藤泰史(一橋大学)

今回の招致活動では日本哲学会のみなさまにはご理解・ご協力を賜りましたこと、改めて深謝申し上げます。
今年の1月以降招致実行委員会委員長の納富信留氏を中心に招致活動を進めてまいりましたが、いくつかの学会からは実行委員会にも加わっていただき、ビッドペーパーをはじめとして様々な資料の作成や、東京都観光財団・国交省観光庁・旅行会社などとの打ち合わせ協議などに協力していただきましたことに関しましても同様に深謝申し上げます。
WCP北京大会の期間中の主な活動としましては、1)「哲学の夕べ」(8月13日夕方開催)、2)招致活動用のブースの開設(8月13日―15日)、3)総会でのプレゼンテーション(8月16日)、を行いました。1)に関しましては三十名強の参加者(モラン会長も参加)があり、内容的には充実した交流ができたと思います。なお、日本酒などを記念品として配布しました。2)に関しましてはオーストラリアのブースと隣り合わせでしたが、招致理念を記したポスターなども急遽張り出しましたので、それなりに注目を集めたと思います(ただ、オーストラリアが持ち込んで配布したコアラの人形は他国の参加者には受けていたと言えましょう)。3)は、直前に手を挙げたイランを含めて4カ国のプレゼンテーションが行われ、日本は4番目でした。パワーポイントの出来に関してはオーストラリアと日本が優れており(あるいは、オーストラリアの方がビジュアル的には優れていたかもしれません)、内容に関しては手前味噌になるかもしれませんが、日本が一番充実していたのではないかと思います。プレゼンテーションの時間は各国にそれぞれ20分が割り当てられ、日本は15分弱を私が英語で、残りの5分ほどを京都大学の上原麻有子氏がフランス語で行いました。そのあとは質疑応答でしたが、人権問題に関する質問が各国に対して同じように投げ掛けられた後は、すべてイランに対する質問でした。それが終了して投票に入りましたが、第一回目の投票結果は、オーストラリア:36票、ブラジル:25票、日本:20票、イラン:6票で、残念ながら日本は決選投票に進むことができませんでした。決選投票ではオーストラリアが、53票を獲得して次期開催国に決定いたしました(ブラジル:35票)。大変残念な結果でありますが、改めて深くお詫び申し上げます。ただ、佐々木健一先生の後任として運営委員に立候補された納富信留氏が無事に当選されました。このご当選が唯一の救いであったと言えましょう。
なお、今後は9月5日に東京大学哲学研究室で招致実行委員会の報告会を開催して問題点などを精査しました。これを踏まえましてこれからの方針も協議いたしましたが、「世界哲学」の理念をさらに探求してゆく活動を継続することでは大枠で一致したと言えましょう。日本哲学会では10月末の理事会でその報告を受けてこれからの方針などを協議する所存でおります。
これまでのご協力に再度深謝申し上げますとともに、今後ともご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

以上